村のおとぎ話

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 昔、この村に住んでいた少女が、迷いの森に誤って入ってしまった。 「ああ、なんということでしょう…。」  少女の母親は嘆き悲しんだ。  しかし次の日のこと。少女は迷いの森から帰ってきたのだ。でも、母親の喜びはつかの間だった。 「あなたは誰ですか?」  どうやら、少女には記憶がないようであった。  村長は優しく少女に問いかけた。 「覚えていることを話してごらん。」  少女が言うに、森の奥に城があって中に入ったそうだ。徐々に進むにつれて、頭痛になり、進むごとに激しくなっていき、意識も朦朧とし ていく…。  そして気がつくと、家の前にいて、すでに記憶が無くなっていたらしい。 「その城は呪いの城よ!そんなもの、すぐに壊すべきだわっ!」  母親の言葉で、村は一致団結して、城を壊しにむかった。  そして、無事に城を見つけ、壊し始めると、異変が起こった。 「どうして?どうして、作業員がどんどん死んでいくの!」  作業をしていた作業員が、原因不明の病で亡くなっていった。  作業はそこで打ち切られ、城には近づいてはいけない、と今までずっと言い伝えてきた。  城は、今も壊されず、ひっそりと森の奥に建っている…。
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