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硝煙が立ち込めて視界が悪く、風が吹かなければ一生視界は拓かれないのではないか、そう思うほどに長いような、短いような時間が経った。
多くの者が祈るような気持ちで硝煙と土埃が晴れるのを待っていた。
弾も兵士も乏しく、また、この地が失陥すれば、それはすなわち、コーラル公国の敗北に直結するからだ。
硝煙が風に流され、土埃は後方に。
そしてはっきりとした視界に飛び込んできたのは一つの旗。
白い百合の花がはためいていた。
その旗を掲げる集団の先頭にその騎士はいた。
光を浴びて輝くその鎧は手入れが行き届いており、まるで新品。使い込まれていることにはよく目を凝らさなければわからない。
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