蜘蛛の糸

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ドアを開け、部屋の電気を慌ててつけた。 自分の部屋に異変がないか、慎重に辺りを見回した。 特に朝と何も変わらず、ホッと一息ついた。 スーパーで買い上げた袋をテーブルに置き、洗面台へ向かう。 外で冷えきった手を、温かいお湯で温める。かじかんでいた手が少し動かしやすくなった。 洗濯物を取り込むために、カーテンを開けると、窓に何か紙の様なものがり貼り付けてあることに気付いた。 今朝この窓を見たときには何もなかったはずなのに・・・ しかも少し冷静に考えてみると、この紙を貼ろうと思ったら、部屋から貼り付けなければならない。 私はいつも外へ出かける時は、必ず窓に鍵を閉めている。 怖い、怖い、怖い・・・ 頭のなかに浮かぶのはただそれだけ。 先程感じていた部屋の違和感は、間違いでは無かったんだ。 誰かが私がいない間にこの部屋に侵入してきたのだろうか? 恐怖で心も体も支配されていく。 足が思うように動かない。 窓辺から離れられない。 さっきまで温まっていた指先が一瞬で冷えていく。 しばらくその場から離れることができなかった。 .
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