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「奨励?」 「わかりませんか? 奨励とは、ある事柄を、よいこととして、それをするように人に強く勧めることです」 「知っている。馬鹿にするな」 「では話を続けましょう。私――サイケは、あなたが殺した能力者の数に応じて、あなたに情報を提供します」 「……その、情報とは?」 「それは教えられません」 「なんだと?」 「現段階であなたに教えられるのは、『能力者を殺せば情報を得られる』という情報だけです」 「……そうかよ」 「では私はこれで……あははっ、赤によろしく伝えておいてね。色々大変そうだけど」 最後で極めて明るい最初の調子に戻った。 赤は俺よりずっと異能を殺しているのだろうから、異能を殺した者に情報を与えるサイケは、かなり赤に会っていると容易に想像がつく。 「……」 そして、赤が居ることがばれている。 恐らく、能力を失っていることも。 ――いや、当然か。 「最後に1つ、聞かせてくれ」 「いいよっ。聞くのはあなたの自由、答えるのはサイケちゃんの自由なの」 「赤の能力は、どうしたら取り戻せる?」 「黒を殺せば」 「……ッ!!」 ――まさか、答えるとは。 「あはははは!! あなたのその顔最高!! 気づいていないフリなんて、させてあげないんだから!! ……赤を隠しておいて、正解だったかもね? 赤と自分自身は騙せても、サイケちゃんは騙せませーん」 「もういい、帰れ」 「じゃあね、ばいばい。そのチート、いつまで続くのかなっ?」 そう言って、サイケは倒れた。 「お、おい!! 大丈夫か……!?」 ――まさか、別に敵が!? しかしサイケはすぐに起きた。 「ん? ワシはどうしてこんなところに……」 その男にサイケの雰囲気は無い。 ――サイケの能力から解放されたのか。 「……あんたは?」 「いえ、あなたがそこに倒れていたので、起こしただけです」 嘘は息をするように思い付く。 「ああ、そうか、すまないな、ふむ……」 ホームレスはどうも腑に落ちない様子で帰って行った。 ――なんだったんだ、あいつは。 とにかく俺は押し入れの中で待っている赤にサイケのことを聞いてみる事にした。
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