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私は言った瞬間に顔を伏せてしまったため、相手がどんな顔をしているのかわからない。
私は、手をギュッと握りしめ足の上においている。自然と呼吸をするのも忘れてしまう。
唇をギュッと噛む。
「ごめんなさい」
レザボアさんからはやはり良い返事がもらえなかった。
「好きな人がいるんです。
あと、もう質問はないですよね?ちょっと今から用事があるので……ごめんなさい!」
そう言うとレザボアさんの速めのな足音が遠ざかっていった。
そして顔を上げる。部屋の中には私だけ。
黒いドアは不思議と私の涙を誘う。
………
……
…
「すいません。体調が悪いので今日は帰ります」
そう上司に告げて出口のドアを越えて再び来た道を引き返した。
涙が一人になった途端に再び溢れだした。しかし目の前の光景を見てその涙は溢れるのをやめた。
そこにはレザボアさんがいた。
「付き合うのは無理だけど……君のためだけに小説、書くよ。主人公の名前に使っていい?」
「……っ!!」
私のためだけに。
「そいやぁ、名前…フルネームでなんていうんだっけ?ゴメンど忘れしちゃった」
「山崎ミキ……山崎ミキです」
「ミキか…うん!わかった!!」
それから3日が経ち、レザボアさんの小説が投稿された。エッジスタのため一般公開まで一週間かかる。
作品タイトルは
『爆笑。初対面にマジ告白』
―――え?
私はこの瞬間。あの時の気持ちは消え去り、同時に殺意が芽生えた。
私の殺したい人ランキング第一位ね。
―End―
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