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「ぐわあああ!」
「弱いわね積(つもる)、そんなんじゃ一生私に勝つことなんて出来ないわよ?」
尻餅をつき、僕は榊原 甲斐菜(かいな)を見上げた。
月明かりに照らされ、何故か甲斐菜が遥か頭上に見えた。
「甲斐菜!てめぇ、どうして男の俺を投げ飛ばせんだよ!」
「あんたが軽いだけでしょ?」
「はっ!まさかお前……ドーピン」
「誰がするかんなもん!!!」
「痛…」
俺は甲斐菜に殴られた頭を押さえ、立ち上がった。
同じ10歳なのに、2人の背丈の差は歴然だった。
俺は負けてなくてもこいつを見上げるしか無い…勝つことが出来なかったら、俺は一生甲斐菜を見上げて過ごすのだ。
なんかムカつく…
「何見上げてんのよ?」
「しかたねぇだろ!背が低いんだよ!なんでお前はそんなに高いんだ!」
「さあね?」
「はっ!まさかお前……ドーピ」
「んなドーピングがあってたまるか!!!」
ただのチャンバラ…初めはただ甲斐菜と仲良くなりたかっただけなのに、何故だろう…いつからか甲斐菜に勝つことが目標となってしまった。
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