約束

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ガラガラ 俺は暗い病室のドアをそっと開けた。 あれから7年……甲斐菜は頭の打ちどころが悪く、体が全く動かなくなった。命が助かったし、記憶も、言葉も、性格も、味覚にも…異常は無かったのに…なのに、もう甲斐菜の体は動かない。 俺はベッドに近づき、エナメルバックを床に置いた。 「よう甲斐菜、待たせたな?」 甲斐菜はそっと笑った。 やはり、7年前の元気は無くなっていた。 一番好きなチャンバラも出来ないんだ。ただ甲斐菜に申し訳無かった。 申し訳無い…そんな言葉じゃ済まされない…そんなこと、俺が一番よく知っているのに、俺には何も出来ない。それが、悔しくて仕方なかった。 「甲斐菜…どうすれば、どうすれば甲斐菜に許してもらえるかな?どうすれば甲斐菜を幸せにしてやれるかな?」 「私は幸せだよ?だって積…約束してくれたじゃん…私とずっと一緒にいるって………… 私と一緒に死ぬって…」 「ああ‥甲斐菜との約束…はたしに来たぜ?」 そして俺は、ゆっくりと、エナメルバックから包丁を取り出した。 完
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