caramel #01

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  ―…はぁ…… 彼とサヨナラして10分。 フラフラとおぼつかない足取りで辿り着いた公園のベンチに、ゆっくりと腰を下ろした。 見上げた空で、月が夜空を照らしている。 あぁ。 何でフラれたんだろう、私。 …理由にも気付けない内に、重荷になってたのかな。 頭ん中ぐちゃぐちゃで、何も考えられないや。 只一つ、確かなのは 大切な人を失ったと云う事。 「…うぅ…ッ…」 やだな。 現実に向き合った途端に泣けて来た。 どれだけ泣いたって、もう元には戻らない。 判ってる。 判ってるけど。 今だけは、泣いても良いよね? どうせ誰も見て無いし… 「どうしたの?」 「………え?」 聞き慣れない声がして顔を上げると、直ぐ目の前に男の子の顔があった。 「……ヒッ!!?」 顔!!近過ぎ!! 「?…大丈夫?」 驚き過ぎて固まる私の涙を、細い指先が拭ってくれた。 …よく見ると綺麗なお顔立ちだなぁ…。 モデルさんみたい。 そんな事を思いながらぼんやりしていると、男の子は直ぐにどこかへ行ってしまった。 関わらない方が良いとの判断だろう。 うん、君は間違って無い。 …本当は、今は一人でいたくないけど。 ホラ。またこうやって、 涙が溢れ出てしまうから。  
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