第十八章

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流石、名の知れた男だ。 僕とほぼ互角ってことか……。 沖田総司以来、久々に面白くさせてくれそうじゃない? 鍔迫り合いの中、目の前の男、本山を見据えて、口角を上げた。 しかし、この状況の中、近くに居た彼の仲間が大声でこう叫んだ。 「本山殿……っ!!一番隊が……っ!!」 「八郎……っ!?くそ……っ。貴様の相手をしているわけにはいかなくなった!!退け!!」 「行かせな……い」 「動くな……っ!!本山殿!!ここは私が……っ!!」 おそらく、三枚橋の方で一番隊とやらが危機に陥っているのだろう。 本山は、顔色を変えると渾身の力で僕の刀を弾き、急いで向かおうとするのを止めようとしたが、その場に居た仲間が銃を構えた。 踏み出した足を戻して、刀を下段に構える。 本山は、『任せる』とだけ言うと三枚橋へと向かい、残った兵と僕は、相手の出方を待つようにして睨み合った。 ほんの数歩の距離での睨み合い。 刀の届かない中距離では、相手が持つ銃が有利だ。 いや、この状況だと一瞬で間を詰めれば、斬り捨てることができる。 幸い、雨脚も強くなってきたところだ。 一発の銃弾を弾けば良いだけ……。 ぬかるんだ地面を踏みしめて、刀の柄を握り直した。 見える……っ!!!! 相手は、顔を強張らせて、銃の引き金を引いた。 バンッと重い音が響いた直後、僕は、キンッと銃弾を弾き飛ばし……。 「ひっ……」 怯えた眼差しをしていたけれど、僕はそれを無視し、頭から叩き斬った。 「はぁ……」 噴き出す鮮血が服にへばり付くのも気にせず、僕は息を吐いて、刀に付着した血を振り払う。 そして、周りの戦闘には目もくれず、三枚橋の方へと歩みを進めた。  
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