プロローグ

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「あ、あんたは……」 「いいかおっさん、いますぐここから逃げな。ここはもう戦場だ、おっさんのいるべき場所じゃない」 少女はヘクターの否応なしに命令をする。町から出る脱出経路を簡単に説明し、少女は町の中心地区へと駆け出した。 その後ヘクターは、無事に町を脱出し家族と再会することができた……。 深紅色の髪の少女は駆け足で町の中心地区へ向かう。 途中で生存者を見つけては救出し、脱出への経路を説明する。 1人でも多くの人間を助けることで、少女の頭はいっぱいだった。 「あらあら、人助けをする余裕があるとはさすがはカレンさん」 声は空から聞こえた。 月を背に、白銀の髪を後の高い位置に結ぶポニーテールが夜風で揺れ、薄い褐色の肌をした小柄の二人目の少女が空中で静止していた。 「これがあたしらの仕事だろ。それに、一人でも多くの人間を救うのがあたしら(ヴァルハラ学院の者)の義務だ」 「そうだね。それはわたし達の義務だけど、あくまでも義務でしょ?」 「…ミラ、いくら仲間だからってそんなふざけたこと言うなら、本気であんたを殺すよ。あんたはヴァルハラの恥だ」 鎚の柄を握り締める。カレンはミラの返答次第では、いますぐにでも殺す覚悟だった。 「…やだなーカレン。そんなことわたしが本気で言うわけ無いじゃなーい」 ミラという少女は陽気に笑いながらゆっくりと地面へと降り立ち、続けてこう言った。 「ただ、生きる気のない人間と屑には興味はないね」
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