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渋谷ハチ公前、夜遅い時間でも、この街の人間が眠ることはない。
むしろ、昼に比べて活発になる人々は今日も激しく夜の営みに勤しんでいた。
それは、彼も同じ。
自称、イケけると言うボサボサの金髪、サロンで程よく日焼けした肌。柄シャツに全身にジャラジャラとアクセサリーを纏った男。
誰がどう見ても典型的なチャラ男こと松本良太は今夜もナンパで忙しかった。
くちゃくちゃとガムを噛みながら適当に女を探す。
「つかさぁ、最近女のレベルマジ低くね?」
良太の隣でナンパ仲間の智也がそう呟いて唾を吐き捨てる。
「しょーがねぇじゃん?最近は大人しめな女子が流行ってるんだってさ。」
良太はそう言いながら前髪を気にする。
「流行りと言えばさ…聞いたか?呪いのパツ金人形の話!」
そう言って良太の隣にいた大貴が良太の肩を叩いた。
「……呪い?」
良太がそう返す。
「なんでもよ、最近渋谷の‘古株’達がどんどん被害に遭ってるらしい。夜、道を一人で歩いていると女の泣き声が聞こえるんだ。振り返ると、道端に人形が置いてある。」
そう言って大貴は良太に顔を近づける。
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