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『……お兄さん。』
「んんー?誰だあ?」
電柱を蹴ったところで、良太は自分を呼ぶ声が聞こえて思わず後ろを振り返った。
しかし、そこには誰もいない。
「……気のしぇいかぁ。」
頭をかいて、良太はその場を後にしようとする。
『お兄さん。』
「!?」
再び、それもはっきりと声が聞こえたので良太は思わず足元を見た。
電柱に、寄りかかるようにして置かれている一つの人形。
綺麗な青い目に、金色の長髪。
赤いワンピースが着させられていた。
良太はしゃがみ込んだ。
…先に言っておく、彼は呂律が回らないほどに酔っている。
「なんだぁ?この人形?」
『お兄さん、私、可愛い?』
人形が良太にそう喋りかける。
良太はなんだか面白くなって落ちていた枝で人形を突き始める。
「わはは!最近は凝った人形もあるんだなぁ。お腹押すと声が出るのか?あ、直接触りたくないからこれで勘弁な?なにせその電柱、犬のトイレで有名だからなぁ。」
ゲラゲラと笑いながら良太は人形を突つく。
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