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『ぐっ…お、お兄さん、私、可愛い?』
心なしか、表情の無い人形の顔が引きつったようにも感じた。
「あ、でもこのまま放置するとまずいか。どれ。」
そう言って良太は人形を枝に引っ掛けて持ち上げると目の前の公園に入り…
…水道でザブザブと人形を洗い始めた。
『うぷっ!?ちょっ、タンマ!タンマぁ!!』
人形が突然そう怒鳴る。
良太の手から離れると人形は突然宙に浮いた。
「おお!最近の人形は本当にすげぇなあ。」
『!?』
わし、と人形の足を掴んで良太は再び洗い出す。
「これで良し、と。」
良太は水浸しの人形を再び電柱の元に戻す。
「犬ってさ、他の犬の匂いがある場所でトイレしないらしいからさぁ。」
ケラケラと良太はそう言って笑う。
『!?…なっ…なっ…この…!!」
人形がカタカタと揺れ始める。
「?」
良太は驚いた。
人形の髪の毛が逆立ち、目を赤く光らせる。
『今まで沢山の人間に取り憑いてきたがここまでの屈辱は初めてだ!!死んで償え!!』
カッ!と人形の口が開いた。
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