人間水槽

17/27
前へ
/192ページ
次へ
「カズキ!」 俺たちは狂ったように絶叫した。ユウキが「ちくしょぉぉ!」と叫んで水面に拳を叩きつける。 ひとり、消えた。 カズキの笑顔が浮かんでくる。 カズキは四人の中で一番身体が小さく、気も弱かった。 でも、誰よりも優しい心を持っていた。昨日のケンスケの誕生日会を提案したのもカズキだ。その誕生日会で水をこぼしてしまった店員に酔った俺たちが罵声を浴びせる中、カズキだけは黙って水を拭いてあげていた。 そんな思いやりの心を持つカズキが。 俺たちの仲間が……。 「早くボタンを押さないと俺たちも危ない、一旦カズキのことは忘れよう。俺がボタンを押してくる」
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加