人間水槽

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狭くなった空間に俺たちの声が反響し、耳が痛くなった。 けれども、今の俺にはそんなことはどうでもよかった。 四人の中で一番成績が良くて、頭の回転が早く、頼りになったケンスケ。 ただごとでない事態に遭遇しても、冷静に解決の糸口を探していた。 今回もそうだ。 さっきは一瞬冷徹で最低な奴だと思ったが、私情に振り回されずに俺たちが最善を尽くすべきことを忘れてはいなかった。 カズキを失った悔しさをかみ殺してみんなを助けようとした。 そんなケンスケのことを思うと、涙が出た。
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