人間水槽

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「いつまでもこうしてはいられない。俺がボタンを押してくる」 先程とはうって変わって冷静になったユウキがそう呟いた。 それでも、その顔には隠しきれない悔しさが滲み出ていた。 そうだ。俺ときたら、何をいつまでも感傷に浸っているんだ。 怪物がケンスケを食べている間にボタンを押さなければならない。 気づけば水位はもうすぐ十九メートルに到達しようとしている。 もう俺たちにほとんど時間は残されていなかった。
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