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俺はしばらく泣いていた。
どのくらいの間そこにいたのだろう。
俺はスッと立ち上がった。長い髪はほとんどが乾いていた。
ここから出よう。そう思い、部屋の出口の前に立ってドアノブを握る。
すると、かつてこのドアを開けてやろうとみんなでドアを蹴りつけていたことを思い出した。
それは、ほんの一時間くらい前の出来事のはずなのに、何年も前のことのように思える。
三人の顔が思い出されて再び熱いものがこみ上げてきたが、もう涙は出なかった。
俺はドアノブを回す。
すると、ドアは軋みながらも、ゆっくりと開いた。
ついに、部屋は俺を解放したのだ。
目の前には登り階段が続いている。その先には四角形に切り取られた空間があり、青空が覗いていた。
俺は三人の犠牲を無駄にはしない。必ずこの事件の真相を暴いてみせる。二度と、俺たちと同じ目に遭う人が出ないように……。
俺は青空に向かってゆっくりと階段を登っていった。
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