花瓶

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次の日の休み時間、ぼくは暇をもて余していると、「コウタ、コウタ」と囁くようにカズヤに呼ばれているのに気がつきました。カズヤは手招きをして教室を出ました。 カズヤは松葉杖をつきながら人気のない廊下にぼくを連れてくると、声をひそめて言いました。 「俺が骨折した日のことなんだけどな……」 カズヤはそこまで言うと、周りをキョロキョロしました。そして誰もいないことを確認すると、さらに声のトーンを小さくして続けました。
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