花瓶

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「俺が脚を折った日、鬼ごっこをしてたよな。あのとき、俺が鬼になって四人が固まって逃げていた。お前はその先頭を走っていたから信用して言うが、俺が誰を捕まえようかと四人の中に入っていったとき、 誰かに足を引っ掛けられたんだ。 偶然じゃない、明らかにわざとだった。 派手に転んで脛を押さえながら見上げたけれども、そこにあったのは三人の驚いたような顔だった。すぐにその顔は心配しているとでもいうような顔に変わったよ。三人とも。そして少し離れたところにお前が立っていたんだ。 もう何だかあの三人を信用できなくなっちまったよ。悪いのはひとりだけなんだけどな」 ぼくはやっぱりそうだったのか、と思いました。 「悪いけど、もう俺はグループに戻らない。戻りたくない。そんなことをした奴と一緒に遊ぶなんてごめんだ」 カズヤがそう言うのも当たり前だと思いました。
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