沼の王者

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ある日、水辺で昼寝をしている俺の前に見たこともない生物が現れた。 二足歩行の猿。 最初に受けた印象はそれだった。 身に衣を纏い、手には先の尖った棒のようなものを持っている。どうやら単独で行動しているようだ。 二足歩行の猿は俺の存在に気がつくと、口を半開きにして固まってしまった。巨大な身体を持つ俺に驚いているようだ。 大きなアロワナをついさっきたいらげたばかりなので腹は減っていなかった。固まったままいつまでもそこにいるので、牙を見せて唸り声を上げると、そいつは一目散に逃げていった。 俺は追い払ってからすぐに、捕まえておけばよかったと後悔した。どんな味がするのか気になったのだ。もしかしたら俺が主食としている鹿よりも美味いかもしれない。今度見かけたら捕まえて食べてみることにしよう。 そう思い、中断された眠りを再開する。
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