沼の王者

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再び二足歩行の猿が現れたのは次の日の朝だった。 あまりの騒がしさに瞼を開けると、何十匹もの二足歩行の猿たちが群れていた。 手には昨日の先の尖った棒に加えて、木に縄で石をくくりつけたものや、動物の骨を削って鋭利にしたものを持ち合わせていた。単独行動をする生物と思っていたが、どうやら違うらしい。それに、あの手に持ち合わせているものは一体何だ?それが彼らの食料ならまだわかるが、木や石を食べるとは思えない。不思議な鳴き声を発してコミュニケーションをとっているのがわかる。 これまでに見たことのない謎の多い生物だからこそ、どのような味をしているのかが余計に気になった。ちょうど腹も減っていて、見ているうちに涎が垂れてきた。 今までの生物とは違い、俺を見ても逃げ出すことはない。むしろ近づいてきているのがわかる。 ーーこの俺を恐れないとは、いい度胸しているじゃねえか! 俺の中に闘争本能が芽生える。 これだけの大群を相手にするのは初めてだが、俺が負けることは絶対にない。 なぜなら俺様はこの沼の王者だからだ。
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