廃墟で

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強烈な太陽光が照りつける昼下がり。 ぼくは同じ大学の仲の良い男友達二人、女友達二人を車に乗せて人気のない山道を走っていた。 これから肝試しに行くというのにみんな怖がる素振りも見せずに楽しそうに雑談をしている。 こんなに余裕でいられるのは明るい時間帯だからなのか?それとも恐怖心を押し殺して無理矢理明るく振る舞っているのか? だんだん車内のボルテージは上がっていく。 「おいおい、カラオケに行くわけじゃないんだからそんなにはしゃぐなよ。もしかしてこれから行くのは遊園地のお化け屋敷か何かと勘違いしてないか?今回はガチのところだぜ。そんな余裕ぶっこいてると帰り道沈黙になって気まずくなっても知らねえぞー」 「うるさいなあ!私、肝試しするときどうしてもテンション上がっちゃうのよ」 「俺も。ワクワクするんだよね」 「なあ、随分走ったけどまだ着かねえの?」 みんな楽しみで仕方ないようだ。 「もうそろそろ着くはずだけど……あっ、ここだ、ここに車を停めるんだな」 ぼくたち五人は車から降りて目的地に歩いて向かった。
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