廃墟で

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「あっ、あれじゃない?」 三分も歩かないうちに目的の廃墟が見えてきた。 四十年も前に持ち主が出て行って取り壊されずに残った洋館。 そこら中に亀裂が入っていて植物の蔦が伸びている。ガラスはすべて割れており、扉や壁にはところどころ大きな穴があいていた。 まさにゴーストハウスと呼ぶのにふさわしい廃墟だった。 これだけでも十分怖いのだが、さらに恐ろしい要素がこの廃墟にはあった。 二ヶ月前、この廃墟の中で人間の死体が発見されたのだ。 それも裸でズタズタに切り刻まれた状態で。 すでに犯人は捕まっていて事件は解決しているのだが、この廃墟には殺された人の怨念が未だにさまよっていると噂されていた。 この話を“肝試し大好き五人組”のひとりのぼくが聞きつけてみんなを誘って今に至るわけである。
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