生命のビデオ

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「お邪魔しまーす!」 ぼくは元気よくトモキの家のドアを開けた。 「ヒロユキ、遅いよ。みんなお前が来るのを待っていたんだぞ」 トモキが階段の上から顔を覗かせてそう言ってから、こっちへ来いと手招きをして顔を引っ込める。 階段を登って部屋に入ると、ケイゴとシュンが寝そべって肘をついた姿勢でぼくを出迎えた。三人ともぼくと仲の良い同級生だった。 「ヒロユキ!何やってたんだよ」 シュンが責めるようにぼくに言った。 「ごめんごめん。母さんが宿題やれってうるさくてさ。母さんの目を盗んでこっそり家抜け出すのに苦労したんだ」 トモキがお盆を持って部屋に入ってくる。お盆に載せられたものを見て、ぼくたちは目を輝かせた。 「おお!美味そうなステーキ」 「今日のお昼の余り物だよ。ちょっとしかないけど、よかったら食べてって」 お盆の上の皿には分厚いステーキが湯気を立てていた。
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