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ところが、キッチンの惨状を認識した僕の脳は一気に覚醒しました。
血を流して倒れている父と母。
赤い刃物を持った黒いマスクの男。
僕は絶叫しました。
男は殺す、と呟き刃先を僕に向け突進してきました。僕は身体を反らしてそれをかわし、刃物を持った男の両手を捕らえました。力ずくで刃物を振り落とすしかありません。
しかし、男の力は予想以上に強く、腕のひと振りで僕は床に倒されました。
必死の抵抗もむなしく、男は僕に馬乗りになります。振り上げられた刃物から血が滴り落ちました。
そして、その凶器の先端が振り下ろされると同時に悲鳴が上がり……。
わぁぁと叫びながら飛び起きました。
息を整え汗を拭います。
ーーなんだ夢か。
外で鶏が鳴きました。
僕は不安を感じました。
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