悪夢

3/3

257人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
ところが、キッチンの惨状を認識した僕の脳は一気に覚醒しました。 血を流して倒れている父と母。 赤い刃物を持った黒いマスクの男。 僕は絶叫しました。 男は殺す、と呟き刃先を僕に向け突進してきました。僕は身体を反らしてそれをかわし、刃物を持った男の両手を捕らえました。力ずくで刃物を振り落とすしかありません。 しかし、男の力は予想以上に強く、腕のひと振りで僕は床に倒されました。 必死の抵抗もむなしく、男は僕に馬乗りになります。振り上げられた刃物から血が滴り落ちました。 そして、その凶器の先端が振り下ろされると同時に悲鳴が上がり……。 わぁぁと叫びながら飛び起きました。 息を整え汗を拭います。 ーーなんだ夢か。 外で鶏が鳴きました。 僕は不安を感じました。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加