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その日以来、なぜか食事は豪華になり、お母さんの服もキラキラしたものになり、廊下には高そうな絵画が並んだ。
「隆史、昨日は殴って悪かった。ごめんな」
お父さんはワインを片手にぼくに話しかける。お母さんもやけに上機嫌で、名も知らぬ豪勢な料理に夢中だった。
けれども、ぼくはあまり食べたくなかった。
それからしばらく経ったある日の晩、ぼくは再びおばあちゃんの部屋に行ってみた。
両親は今ぐっすり眠っている。また誰か起きてやってくるかもしれないと不安だったが、その気配はなかった。
ぼくはゆっくりとドアノブを捻った。
でも、ドアには鍵がかかっていて、開けることはできなかった。
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