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ある秋、佐々木さん宅で死体が発見された。 犬の散歩の途中、佐々木さん宅を訪ねた女性が見つけて警察に通報し、周囲は大騒ぎになった。 私はまさか、と思った。あのいつもニコニコしていて人がよく、評判もいい佐々木さんが。何かの間違いではないのか。 警察は完全に佐々木さんを犯人だとみていたようだが、そうではなかったとすぐに判明した。 別の事件で捕まった男が、殺して捨てたのは自分だと言い出したのだ。 夫婦のいざこざで男は妻を殺してしまい、死体処理に困った。そこで、佐々木さん宅に死体を隠すことを思いついたという。男は評判がとてもよい佐々木さんを快く思っていなかったので、死体遺棄場所に最適だと思ったのだ。森や海に捨てるより見つかるリスクは大きくなってしまうが、見つかってしまえば佐々木さんの評判は地に落ちるだろう、とーー。 最低な奴だと思った。 その事件以降、私は佐々木さんの柿を口にしていない。別に佐々木さんを嫌いになったわけではない。ただ、私はあの柿に抵抗を持つようになってしまったのだ。 あの柿の木の下に、死体が埋まっていたと思うと……。
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