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心配になった私は隣家を訪ねた。出迎えたのは男の妻だった。
「いきなりすいません。あの、さっき窓越しにケンジさん(男の名前)と会ったんですが、随分と顔色が悪くて……。何かあったんでしょうか」
私がそう言うと、男の妻は不機嫌そうな顔をした。
「ああケンジね……。今ちょっと熱出して寝込んでいるのよ。心配してくれるのはありがたいけど、人の家覗き込むのは止めてくれる?そういうのってホント迷惑なの。次やったら訴えるわよ。いいわね?」
そこまで早口で言い終えると、私が反論する隙を与えないまま扉を閉めてしまった。
何だか、おかしい。
私の中にもやもやしたものが残った。
翌日、気になっておそるおそるカーテンをめくってみると、そこに男の顔はなかった。
しかし、隣家の前には何台もパトカーが停まっていた。
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