4. 幼稚園~野山せんせい~

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私は、顔を見たくなかった。 不思議と寂しくはなかった。 「桜子ちゃん、今日のハンカチは……?」 野山せんせいは私の顔色を伺うように、遠慮がちに言った。 私は黙ってハンカチを見せた。 「まあ、あの可愛いハンカチね。……桜子ちゃん、元気でね。さようなら」 私は、少し笑って、ようやく言った。 「……さようなら」 これは、本心からだった。 最後に話を出来た事は良かったかもしれない。 けれど。 やっぱり、もう会いたくなかった。 だから、笑えたのかもしれない。 「寂しくなるわねー」 母親が言った。 私は答えなかった。
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