十七回目の桜

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僕の家まで5分ぐらいの距離を僕は歩いていた。僕はあの桜も大好きだけどもこの夕暮れ時期の家までの道も同じくらい大好きだった。 木の匂いに混じって流れてくる民家からのおいしそうな夕食の匂い、山に今にも吸い込まれていきそうな夕日とそれを寂しがるように鳴くカラス、家に近づくと見えてくる両親が大好きなログハウス風の家。 家に近づく、カレーの匂いがする、少し歩調が速くなる。 玄関の先に足をかけると隣にあるベランダに腰をかけて煙草を吸う僕の父がいた。 「おかえりなさい。蓮」 父が言った。 「ただいま父さん。今日はカレーでしょ?」 「相変わらず蓮の鼻は鋭いね。そうだね今日はカレーだよ。」 僕はニヤッとしながら女の子の事を思い出してこう言った。 「そういえば今日桜の場所で女の子を見たよ。」 父は少し驚いたようだったがこう言った。 「もしかして家のお母さんぐらいの年の人と一緒じゃなかったかい?」 「確かにそうだったけど…父さん何か知ってるの?」
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