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ホームルームの暇を持て余して、そんなことを考えていると、いつの間にか号令は終わっていた。
慌てて鞄をまとめた後、俺は黒板消しに勤しむ少女に声をかける。
「なずな、帰ろうぜ」
始業式の今日は半日で下校だ。
「あ、ごめんね。委員会があって、ちょっと残るんだ」
「そっか。じゃあ一人で帰るわ」
帰りに本屋でも寄ろうと思っていると、急に肩に手を回された。
「おやおや、大瀬氏、見事にフラレましたねー」
「これは夫婦の危機! 早いうちに手を打たないと大変ですよー。そうだ、ボクが相談に乗ってあげましょうか」
右手がかかっているのは、大迫亮平。という名を持つ変態。そして残念なことに、俺の親友という異名も持つ。
そして左手は、三原理緒。自分のことをボクと呼ぶが、れっきとした少女。たまに美がついたりする。それでも男勝りなところもあって、運動神経はたぶん俺より高い。
「……誰が夫婦だ!」
腕を回して、思いっきりはね除けた。
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