1404人が本棚に入れています
本棚に追加
幼なじみである新垣なずなは、家も隣にある上、小中高と一緒に登下校しているが、それ以上もそれ以下もない。
小学生の頃に一日の半分は一緒にいたせいか、異性というよりも、兄妹というイメージが強い。
「そ、そそ、そうだよ! ただの幼なじみだよっ!」
なずなも慌てたように手をパタパタさせる。
そんなに必死になられると、それはそれで哀しいな……。
「かっー! これだからリア充唐変木は! いいか、尚輝、今からお前に“女のコ”のいろはを教えてやる」
「いいよ。どうせお前の経験は全て平面上だろ」
「な、なにおう! 彼女たちはあくまで、画面に閉じ込められた可哀想な少女たちなんだよ! 心は三次元と変わらん! むしろ純粋だ!」
ダメだ……。こいつの将来が本気で不安になる。四十になってもパソコンの前でにやける姿が容易に想像出来てしまった。
「まぁまぁ、亮平は放っておいてさ、ボクが教えてあげるよ……」
そう言って理緒は、さっきとは違う具合に首に手を絡めてきた。
「ちょ、ちょっと! 理緒ちゃん!?」
「こういう分からず屋には、直接教え込む必要があるよね……。例えば、身体に、とか」
スポーティーな身体の、ある柔らかい一部分だけをわざとらしく背中に引っ付けてくる。
嫌なら無理矢理剥がせばいいじゃないかと思うだろう。
まぁ、俺も男ってことで。
発展途中のそれは、奥ゆかしさの中に秘めたる蜜の味が……正直、ヤバい……。
「奥ゆかしさの中に秘めたる蜜の味が……正直、ヤバい……」
「俺の心を音読するな!」
「あれ? 当たっちゃった?」
やっとの思いで理緒を振り切った。
「ああ、もう! 俺は帰るからな! じゃあな!」
「ぶぅー」
少しも惜しそうでない理緒の後ろで、「いいなー」と呟くなずなと亮平がいたのは見なかったことにした。
最初のコメントを投稿しよう!