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「…っ、ふ…、ぅ…」
必死で舌を絡める坂下。
その頬は薄っすら朱に染まっていて。両手は遠慮がちに俺の背中に回された。
(なんだこの可愛い生き物…)
普段の強面オーラは何処へやら。いつもの坂下はすっごくかっこいいんだけど。
今の坂下は本当に、可愛らしい。
俺の熱視線に気づいたのか、ゆっくりと坂下の瞼が上がる。
綺麗な琥珀色と視線がかち合う。
瞬間、
「…んんっ!ん…っはぁっ!はっ、こっ、こら、はっ、やっ、屋島!!」
息も絶え絶え、顔を真っ赤にして怒鳴る坂下。いつもの坂下に怒鳴られるのは怖いんだろうけど、この坂下じゃぁちっとも怖くない。…っていうか、
「こらって(笑)ずいぶんかわいい怒り方だね」
「…っ、しゃーねーだろいつものクセだ!ってそうじゃなくて!そうじゃなくて!!」
「うん?なぁに?」
「おま、お前なっ!きキスしてる時に目開けんなよ…!」
「だってもったいないじゃん、キス顔なんて俺しか見れないんだからみときたいじゃん?」
かあっ、と赤く染まる坂下。
次の言葉が出ないようだから少し待ってやることにする。
「………はっ、恥ずか、しいから、そういうの、やめろよ…」
顔を背けながら小さく零す。
羞恥からか目に浮かんだ涙。
揺れる瞳。着崩された制服の首元から見える鎖骨。じわりと滲む汗。坂下の全てが、扇情的、で。
「ひゃ、っ、わっ、ちょ、やし、屋島…!」
俺は坂下の両手をそれぞれ抑えつけて、首筋に顔を埋める。
舐めると、少ししょっぱい味がする。夢中で舐めて、甘噛みする。
こいつに触れたくて、仕方が無い。
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