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「うっ、あ、そ、そう、だけど!」
でも、俺は、坂下と一緒に、いたくて!!
「お前なに慌ててんだよ。…ほんのちょっとでいいから抜けれるか?」
あ、苦笑い。この顔も可愛い。
「う、うん!大丈夫!絶対時間作る!」
やっぱいいや、と言われたくない一心で言い募る。
「そか、ありがとな。じゃあ当日、時間できたらでいいから連絡して。会いにいくから。」
「うん!わわわかった!」
よっしゃああああ!坂下と誕生日デート!会いにいくからって…会いに行くからって!!
「…おまえさっきからどもりすぎな」
「だっ、だって嬉しいから…!」
「ん、よしよし。」
優しく笑って、俺の頭を撫でてくれる。嬉しい、けども!
「なんっ…!こども扱いすんなよ坂下っ!」
お兄ちゃんモードの坂下も好きだけど、人前でされるとちょっと恥ずかしい。
「わり、つい癖で。でも俺が優位にたてるのはこーゆーときだけなんだからこのくらいは大目に見ろよ」
「…っ!」
そうだ、こんなにかっこよくて可愛い坂下だけど、ヤるときは俺を受け入れる側になってくれる。その事実に自然とにやけそうになる。
「ほら、部活あんだろ。早く行けよ、キャプテン。」
ぱちん。不意討ちのデコぴん。
「あだっ!!そうだ部活…!い、行ってきます!!!」教室から飛び出す間際、顔だけ振り返ると。
「おー、行ってらっしゃい」
そう言って片手をひらりと上げて小さく微笑む坂下がいて。
心臓が大きく一回鳴って、
「っいだっ…!!」
俺は廊下ですっ転んだ。
し、新婚さんみたいじゃんか…!とか思ったけど、流石に怒られそうだから言わないでおこう。
にやけた顔を隠しながら
俺はグランドまで駆け抜けた。
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