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「めざせ100点!」
低いテーブルを挟んで向こう側では、屋島が夢みたいなことを言いながら鉛筆を握りしめている。
てか今どき鉛筆使ってるやつなんて、俺はこいつくらいしか知らない。
「はいはい、せーぜー頑張れ。」
一方俺は。
左手で頬杖をつきながら屋島の様子を眺めるのみ。
「はいはい、じゃないだろ!坂下もやるの!来週からテストなんだよ?」
屋島がカッ!と目を見開いて俺を見る。
「…テスト勉強なんて前日にやりゃいいだろうが。てか受ける意味がわからん。」
まともに学校行き出したのがここ最近の話なんだ、テストなんか論外。
「…おまえ、その調子で去年テスト受けなかったんだろ。だから今年また2年生やらされてんだろ。」
「……それもある、かも。」
それだけではないんだけど。
確かにそれも一因にはなった。
「かもじゃないよ100%そうだよっ!もー、なんなのお前。俺と一緒に卒業したくないわけ?またダフるの?」
頭を抱える屋島。なぜおまえが取り乱す。
「…いや、そんなつもりはねぇけど。」
ちょっとひきつつも、そう絞り出せば。
「ならほら、勉強する!」
ばちーん、と鉛筆を俺の前に置く。
俺のこと思って、そう言ってくれてんのはわかる。わかるけど。
「…、あのさぁ」
俺としてはもっと大事なことが
「うん?」
あるんだよ
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