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「俺とお前が付き合うようになってから、二人きりで会うの初めてなんだってしってた?」
姿勢は崩さず、屋島の目をみて言う。
「…え、」
驚いたといった表情をする屋島。
「お前毎日部活してっから普段はなかなか時間とれないし。俺としてはちょっとくらい、お前との時間楽しみたいんだけど。」
俺は視線をそらし、鉛筆を左手に取りくるくると回す。
「…お前、その言い方、ずるいよ」
口のあたりに手を当て、ほっぺを赤く染める屋島。
どうやらおちてくれた様だ。
テーブルを横にずらす。
「狡くて結構。
ちょっとの時間でいいから。
ほらおいで、屋島。」
ぽん、と膝をたたいて、片手を差し伸べれば。
「……………っ!!!」
勢い良く、屋島が抱きついてくる。
初めて間近で感じる体温。
「よしよし」
耳まで真っ赤に染めて。
かわいいやつだ。
「坂下、かっこよすぎるよ…」
か細い声でそう言われる。
「…そらどーも。」
こう返すので、精一杯。
余裕ある風を装ったが、俺にそんなものはない。
俺だって、身体が、熱い。
顔だってきっと真っ赤だろうから。
見られないで済むように。
そっと、その背を抱き寄せた。
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