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お互いがお互いのことを知らず、なぜかこうして一緒に暮らしている
隠しているわけでもないので聞かれたら答えるが、アイツが聞いてくることは…まずない
だからこそ、オレもアイツになにも聞かないし…知る必要もないと思っている
手元のマグカップを口元で傾け、温かな苦味を体内へ
それとは逆の手に持った新聞から視線をずらし、キッチンからのぞく件の人物をぼんやり眺めた。
オレがアイツについて知ってることは…名字が木村であること。そして、信じられないほどのタルラーだということ。あとは…
「新庄サ~ン!ごはん出来たよー」
オレのことを、新庄サンと呼ぶこと
「…アレはかけるなよ」
「いーやーだー。いい加減慣れてよねぇ~。もー」
たった、それだけ
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