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10分以上遅れた帰りのバスに乗り込む。 二人席の、私の隣には彼が座る。彼が窓側で、私が通路側。 なんとなく、他と断絶された世界のようで、どきどきする。 新年早々彼と会えるなんて、幸せ過ぎる。しかも動物園デート。 彼が祖父母の家に行く予定があったから、4時には帰ろうとしていたのに、いつの間にか5時近い。さっき彼に時間の事を聞いたら、さして気に留めていない様子だった。 狭い座席のせいで、肩が触れている。 敢えて離すなんて勿体ないことはしない。 「手ぇめっちゃ悴んでるんだけどー」 そう言いながら、右手を動かす。長い指。 ああ、そういえばさっきからずっと、手が冷たいって言っていたっけ。『暖めてあげようか?』なんて恥ずかしくて言えないけど、ちょっと間を置いて、 「えい、」 と彼の手に触れた。 思っていた以上に冷たい手にびっくりしたけど、離す事はしない。 .
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