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隣に座った私たちの両サイドには、部員が座る。彼と部員たちは、さっきちょっと話して、少し打ち解けたみたいだった。 今まで絶対交わることのなかった他校の彼と、うちの部活の部員が一緒の空間にいることが、なんだか不思議だった。 開演を知らせるブザーが鳴り、客席の照明が落ちる。 「俺、絶対寝るわー」 薄暗い照明の中で、彼が眠そうに目を擦る。 「んー、まぁ寝ててもいいけど」 元々、演劇なんて無縁な人だもんね。 それに、隣に居てくれるだけで幸せですから。 肩もぴったりくっついちゃってるし、なんかもう、それだけで満足。 狭い座席に感謝です。 緞帳があがって、舞台が始まる。 電車の落とし物センターに届けられた落とし物をめぐって、いろんなひとが登場する、そんな話。 .
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