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「待ってくれませんか、十子さん。」
十子さんを止めたのは、金子課長だった。
十子さんが、眉を潜める。
何故なら、金子課長の人柄や能力は鬼倉が高く評価しており、十子さんも喫茶店の件ではずいぶん助けられている。
本来ならば、公務員としてありうべからざる職務怠慢を見過ごすような人物ではない。
「処分の対象になりかねないのは承知している。だが、もう一度だけ何らかの形でチャンスをやれないだろうか。」
「お言葉ですが、未成年ならともかく公務員としての権利のみを享受して義務を果たさない輩を私は許しがたいのですが?」
職責を果たさずに給料をもらっている彼らに、十子さんは厳しい。
それは、金子課長にも十分伝わっている。
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