十子さんの吠える日々

新たな依頼

「彼らを増長させたのは、彼らをバックアップしつつもイメージアップにもりようしようとした区や市にも責任がある。実際、広報でも取り上げてしまった。その後、彼らからのクレームを区や市が毅然とした態度で対応していれば、今回のような処分などということにはならなかったのかもしれない。

彼らはまだ20代だ。どうにか改心の機会を与えてはやれないだろうか。以前は、仕事に燃えていたこともあるんだよ。」

十子さんは彼らを知らないが、金子課長や春日部課長は自分たちの部下だ。

部下に処分該当者が出れば、上司にも口頭での訓告がいく。

おそらく。

それでも、春日部課長は自分が訓告を受けても彼らを何とかしなければと考えている。

一方、金子課長も自分への訓告を避けようとしているわけではないが、まだ公務員となって10年とたたない彼らを何とか改心させて以前のような人間に戻したいと考えている。

この場にいる二人の課長は、一枚岩ではない、それを十子さんは知った。