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十子さんは、携帯を耳に押し当てる。
しばらくコールが続いたあと、懐かしい声が聞こえてきた。
「お久しぶりです。十子です。ええ、その十子です、ーー師匠。」
十子さんの口元に、不敵な微笑が広がった。
夕方、十子さんは高見を連れて市長室に乗り込んだ。
「お待ちしてました、十子さん。おや、こちらの方は?アポはお一人でしたが?」
犬猿の中の高見に、市長付きの秘書勝山からの軽いジャブが飛ぶ。
「あ、お気になさらず。俺は十子さんの備品ですからぁ。」
もはや、下僕でもペットでもなくなった高見。
彼のプライドはどの辺にあるのか。
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