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「まず、三人を売り出そうと話をもってきたのは、A区長です。それに市長は慎重な姿勢を見せましたが、瀬野副市長が同意されまして、広報へあのような記事が。」
「・・・そうか。あの副市長か。」
勝山の言葉に、十子さんは大体のことを察した。
鈴木市長に、表だった敵はいない。
だが、次の市長の椅子を狙う者はいる。
それが、瀬野副市長だ。
今のところ、鈴木市長の人気には勝てないとおとなしくしているが、あわよくば次期市長には自分がと考えている一人である。
「瀬野副市長は、鈴木市長が東京へ出張している間に、そちらの区長とともに三人のスポーツセンター出向を手配していたのです。」
広報活動に三人を使い、三人が活躍したらそれを自分の手柄にするはずだった。
しかし、三人は慢心して勝てなくなり、副市長にも彼にへつらう区長にもメリットはなくなった。
かといって、おおっぴらに処分できないところが、彼らの小者たるところなのだが。
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