十子さんの吠える日々

新たな依頼

「では、私が彼らに行為を改めるように促してもかまわないな。」

十子さんは、鈴木市長に念を押した。

大事なのだ、市長の許可を得ていることが。

言わば、今回の十子さんの仕事は副市長の尻拭いだ。

成功すれば、鈴木市長は副市長に貸しを作ったことになり有利になる。

逆に失敗して何かまずいことが公になったり、十子さんや高見が責任を問われることになっても、市長の許可を得た行為だと言い切ることができる。

もちろん、十子さんが失敗するなんてことはこれまでほとんどなかったが。

「十子ちゃん。自由に動いていいよ。君がいいと思うやり方で事態を好転させてほしい。僕が責任を負うから。」

鈴木市長は、笑顔で答えた。