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春日部課長は夏目の案内を断り、三人で武道場に向かった。
ドアの前で、春日部が十子さんを振り返った。
「彼らはこれまでも脅しのような暴言を吐いてきましたけど、一度も暴力はないの。でもねえ、絶対とは言えないから危ないと思ったら自分の身を優先してちょうだいね。」
「ありがとうございます。」
十子さんは、礼は言ったがその通りにするとは言わなかった。
それが春日部にも伝わったのか、彼女は無言で十子さんを見つめた。
それからドアを開けた。
中では、ちょうど一練習終えたばかりなのか、汗だくの三人がタオルを首にかけて一休みしていた。
「厚見さん、穂苅さん、大東さん。お久しぶりね。」
春日部課長の姿を見ると、三人は立ち上がった。
出向はしていても、彼女は自分たちの上司にあたる存在だということは忘れていないらしい。
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