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勝負をしろと言ってきておきながら、今ではないという十子さんに対しまたしても三人が怒った。
口々に喚こうとするのを、十子さんが片手を挙げて制した。
「さっきも言ったが、私は柔道をしたことがない。だが、最低限のルールや技を知らない者を倒しても、お前たちの待遇は保証されても威張れることにはならない。だから、私から二つ条件をつける。」
十子さんの口から「条件」という言葉が出たので、三人はさすがに警戒した様子だった。
「なに、大したことじゃない。勝負は1ヶ月先。それから、私は素手で相手をするが技は柔道ではない。柔道をしたことがなければ当然だろう?」
三人は、顔を見合わせた。
十子さんからの条件に裏があるのではないかと疑っているのかもしれない。
だが、どんなに三人が疑おうと、計画を変更することなど十子さんにはあり得ない。
「1ヶ月でお前たちをあっさり倒すための準備をする。それとも、1ヶ月で私が達人のように進歩するのが怖いか!?」
「きさまこそ柔道をなめるな!1ヶ月で柔道の何がわかると?」
「いや、わかる気などない。」
十子さんは、ふんと鼻でせせら笑った。
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