新たな依頼

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翌朝、朝礼で十子さんの市役所への短期出向が発表された。 「そんなぁ。早く帰ってきてくださいね。」 寂しがっているのは、隣の席の田中さんだ。 「すぐに戻るから、喫茶店よろしくね。」 「今、新作の初夏のメニューを出す準備をしているんです。十子さんに真っ先に食べてもらいたかったのに。」 田中さんは、素直で純朴だ。 そう言うところも、十子さんの気に入っている部分である。 「戻ってきてから食べさせてもらうから。楽しみにしてるからね。」 十子さんは、まだ若い田中さんが頑張っているのが微笑ましくて応援したくなる。 少なくとも、十子さんの回りには他にここまで素直な後輩同僚はいない。 高見とか真理亜とか、後輩ではないが鬼倉とか・・・。
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