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自転車の鍵を手で遊ばせながら、千葉は閑散とした駐輪場から校舎へと足を向けた。
「あ…と、ごめん」
駐輪場から出てすぐ、千葉は校舎の横から走り出てきた生徒にぶつかりそうになった。
「いえ、すいません」
お互いうまく避けて、そのまますれ違った。
紺のジャージを着ていたから、運動部の朝練だろうか。
ずいぶん綺麗な人だったと、千葉は走り去った相手の姿を目で追った。
長めの黒髪が、サラサラと揺れていた。
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