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しなやかな細身の体躯には、程よく筋肉がついていそうだった。自分より五センチは低そうだが、バランスの良い体型だと思う。 走るその姿はまるで、重力を感じていないように軽い足取りで、千葉は感心しながら相手が見えなくなるまで見送ってしまった。 千葉の教室は二階で、クラスはA組だった。身長が180を越している千葉は、始業式の日に窓際の一番後ろの席へと移動された。 机から忘れたプリントを取り出し、千葉はふと窓の外に視線をやった。 先ほどの相手が、軽やかに走っているのが見える。
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