-神世(シンゼ)-

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-世界の歪み- “神人(ファルシ)”が人間を力に変換・吸収する(「喰らう」と例えられる)などして“天通力”が強制的に失われると、その存在によって起こるはずだった影響も同時に失われることになる。ところが、あるはずのものが失われると矛盾する部分が必ず生じることになる。それが度重なって、現世を構成する巨大な“天通力”の秩序と流れに変調をきたしている状態を「世界が歪んでいる」と言い、前述の通りあまりにも歪みが大きくなると、現世と神世の両界に「大災厄」と称される大きな災いが起きると予想されている。 例えば、子供と家を持つ夫婦が喰われた場合、夫婦自身やその直接の持ち物は消える。しかし子供は親がいない子供として残り、住んでいる家は夫婦の部屋を空っぽの状態にして残る。人々の記憶は夫婦が「最初からこの世に存在していなかった」ように修正され、残された子供や家に関する矛盾や疑問点を追究する者も通常はいないとされる。このような違和感の集合が「世界の歪み」である。「世界の歪み」を感覚として捉えることができるルシはこの歪みを“神人”のいた痕跡として追い、同様の力を持つ“神人”も歪みがあると興味を惹かれてその土地にやって来る傾向がある。 神やルシの関係者は一般に上述のように認識しているが、歪みの真の原因は“天通力”が現世で自然発生し得ない状態に変換されたことによる「不安定化」である。“天通力”は実際には消失しておらず、異世界の住人である神が「現世に存在する為の根源的な力」として本来、現世に存在しない形に固定しており、それが“天通力”の流れを滞らせ歪みを生む原因となっている。これが神に発覚すれば「“天通力”を使ってしまえば何の問題もない」という誤認を生みさらなる暴走を招く恐れがあった -真名と通称- 神々には神世での本名にあたる真名と、現世で付ける呼び名である通称がある。真名は姓(名字)、通称は下の名前のようなニュアンスで用いられており、名乗る場合は真名の後ろに通称を付けて名乗る(エトロ場合は“紅蓮の審判者「エトロ」”ということになる)。
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